自由な場所と逃げたい私

適応障害とか言われてる20歳女子の精神病棟入院記。10月20日退院。

恋愛もありました。備忘録。

アネックス病棟に来て、3週間が過ぎました。流石に慣れました。ちょっとここで、3階病棟で急速に惹かれ合った「彼」について、備忘録的に記録を残したいと思います。

まず、彼は私より先にアネックス病棟に移動になっていました。なので私たちは、院内散歩という名のデートやら電話やら院外外出という手段を使って逢瀬を重ねていました。3階病棟とアネックス。案外、物理的な距離は大きかったです。そして私が思ったこと。「この人の性格も価値観も苦手だ。おまけに将来性も感じられない。一緒にいるのが負担だ」あまりに単純で無責任なものですが、会うたび話すたび、この思いは募っていきました。普段はクールな彼が見せてくれる、笑顔、優しげな眼差し、不安、焦燥。愛おしそうに私を撫でる彼を見ていると、私たちかなり恋してるな、だとか甘い気分になるのですが、ふと現実の彼を目にすると、ふわりとした甘さも心を掴まれるような酸っぱさも消えてしまうのです。醒める、ときめく、をひたすらに繰り返しました。どんどん苦しくなっていきました。私は自分の感情の起伏と、彼の言葉に疲れきっていることに気がつきました。「距離を置こう」そう思って、私は連絡を尽く断ちました。ここでいけなかったのは、私自身のことに精一杯で、距離を置くという台詞すら彼に伝えなかったことです。連絡を断って、私はひとりで楽になっていました。このまま自然消滅させられればな・・・と思うほどでした。連絡を断ってから2,3日したときのことです。ある男性患者さんから、「とりあえず、読んで。彼からだよ」と、四つ折りにされた手紙を手渡されました。大体予想通りの文面でしたが、最後の一言に息が詰まりました。「待ってるから」
彼は、3階病棟の食堂が見える位置で、ずっと私を待ち続けていたらしいのです。「あぴんちゃん、俺もアイツの友達やけんさ。俺も付いていくけんさ、会いに行こうで。・・・今から」後はその男性患者さんの仲介で、別れ話とやらをやりました。そして別れが成立し、互いに借りたものを返したりという事務的作業を行いました。「・・・最後に聞くけどさ、本当に別れるの?」傷ついた小動物のような静かな目で、彼は私を見つめます。私にしか見せない、彼の表情に、やはり私は言葉にならないときめきと、優越を感じます。絶対的に私にしか見せない、切なげで美しい彼。私を愛しているという気持ちを隠そうともしない幼げな彼。甘美でした。そんな思いを振り切って、私は首肯しました。涙の3滴ほどが、膝を濡らしました。何故かは分かりません。とにかく彼は、相当に美しかったのです。
これが、1度目の別れ。